はじめに:「おばけ絵本」って子どもに大丈夫?と思う方へ
「おばけ絵本って、こわがるんじゃないかな……?」
そんなふうに感じる方も多いかもしれません。特に小さなお子さんにとって「おばけ=怖いもの」というイメージを持っている場合、読み聞かせに取り入れるのをためらう方もいるでしょう。
実は、おばけ絵本には“怖くない”作品がたくさんあります。むしろ、ユーモアたっぷりで笑える内容や、かわいいおばけが登場するものなど、「こわい」よりも「楽しい!」という気持ちになれる作品が多いんです。
この記事では、保育士の視点から、子どもが無理なく楽しめる“怖くない”おばけ絵本を、年齢別にご紹介します。さらに、読み聞かせのコツや、おうちで楽しめる知育あそびも一緒にお届けします!
おばけ絵本を選ぶときのポイント

年齢に合わせた「怖さ」や「内容」
子どもは年齢によって怖さの感じ方がまったく違います。
- 0〜2歳は怖い要素がなく、見た目がやさしいおばけの絵本
- 3〜4歳になるとちょっぴりこわいけどおもしろい体験ができるものも◎
- 5歳以上ならストーリー性のあるものや、自分で考える要素のあるものも◎
夜や夏に読むなら“怖すぎない”作品を
夜寝る前や夏の季節にぴったりなのが“おばけ絵本”。でも寝る前に怖すぎると眠れなくなることも…。イラストがやさしかったり、最後は笑える展開になっていたりするものを選びましょう。
こんな絵本なら安心して楽しめます:
- イラストがポップで親しみやすい
- 最後は「なんだ、おばけじゃなかったんだ!」という安心オチ
- 家族のやさしさや友情など、あたたかい要素で終わる
「ちょっぴり怖かったけど、楽しかったね」「おばけって意外といいやつなんだね」と会話しながら、眠りにつける1冊を選びましょう。
笑える・かわいい・ユーモア系もおすすめ
おばけ絵本の魅力は、“怖さ”だけにとどまりません。思わず笑ってしまうような展開や、見た目がぽってりかわいいおばけが登場する作品もたくさんあります。
たとえば――
- おばけがトイレを怖がっているお話
- おばけがカレーで食べられちゃう展開
- おばけがこわがりで、おばけ屋敷から逃げ出すストーリーなど…
「うちの子、おばけって言葉だけで怖がっちゃって…」というご家庭にも、こうした“怖くないおばけ”をきっかけに、親しみを持てるようになることも。
親子で「これ全然こわくないね〜」「このおばけ、〇〇ちゃんみたいだね!」と笑いながら読めば、楽しい時間になりますね。
【年齢別】保育士が選ぶおすすめおばけ絵本10選

【0~2歳向け】見た目もやさしい♪かわいいおばけ絵本
この時期は、怖さよりも「音のリズム」「色のやさしさ」「安心できる展開」が大切。
大人にとっては“おばけ”でも、子どもにとっては「なんだかおもしろいキャラクター」に感じられるかもしれません。
■『ねないこだれだ』(作・絵:せなけいこ|福音館書店)
「夜ふかしすると、おばけが来るよ〜!」という定番絵本。
けれど、色や形がはっきりしていて、貼り絵のタッチも親しみやすく、赤ちゃんでも注目しやすい1冊。
“ねんね”の習慣づけにもぴったりです。
■『おばけのアイスクリームやさん』(作:安西水丸|教育画劇)
おばけが営むアイスクリーム屋さんのお話。
おばけが作るカラフルでふしぎなアイスがたくさん登場し、まったく怖くありません。
おばけ=やさしい・楽しい存在として親しめる、夏にぴったりの絵本です。
■『ちいさなおばけ』(作:新井洋行|岩崎書店)
おばけの上に透明のPETシートを重ねると、赤ちゃんがだいすきな「えがお」がでてくる!
最初に読む“おばけデビュー絵本”にもおすすめです。赤ちゃんもじっと絵を見つめるやさしいタッチです。
【3〜4歳向け】ちょっぴりドキドキ。でも、楽しい!
好奇心がぐんと広がる年齢。
「こわいけど見たい」「でも最後は笑いたい!」という複雑な気持ちをくすぐる絵本が大人気です。
■『ばけばけばけたくん』(作・絵:岩田明子|大日本図書)
なんでも食べちゃう“ばけたくん”が、食べたものに次々と変身!
「え〜!?」と驚いて笑える展開で、怖さゼロ。
テンポのいいストーリーで読み聞かせにも◎です。
■『おばけだじょ』(作:tupera tupera|Gakken)
登場するのは、思わずドキドキしちゃうおばけたち。
色づかいも明るく、音のくり返しや表現がとても楽しい1冊。
読み手のテンション次第で、大爆笑に包まれることも♪
■『おばけのてんぷら』(作・絵:せなけいこ|ポプラ社)
うさこちゃんがてんぷらを揚げる横で、こっそりおばけが…!?
「見つかっちゃう〜!」というハラハラ感と、最後にくすっと笑える結末が魅力。
3〜4歳の“想像の世界”にぴったり寄り添うストーリーです。
■『いちにちおばけ』(作:ふくべあきひろ/絵:かわしまななえ|PHP研究所)
1日だけ“おばけになったら…”というユニークな設定。
「もし自分が、おばけだったら、どうする?」という想像が広がります。
最後のオチには、思わず「そう来たか!」と親子で笑える展開に。
【5〜6歳向け】物語をじっくり味わえる。“心”も動くおばけ絵本
ストーリー性や、感情に寄り添う展開が理解できるようになる時期。
おばけがただ怖い存在ではなく、悲しみや思いやりを持っていることにも気づけます。
■『さよならママがおばけになっちゃった』(作・絵:のぶみ|講談社)
大好きなお母さんが突然おばけになってしまったら…?
ユーモアもありつつ、家族の絆を深く感じられる感動作です。
ちょっぴり切ないけれど、愛情あふれる1冊。
■『わんぱくだんのおばけやしき』(作:ゆきのゆみこ・上野与志/絵:末崎茂樹|ひさかたチャイルド)
人気シリーズの1冊。わんぱくだんが挑むおばけやしき探検は、ドキドキの連続!
怖いけど、仲間と一緒なら楽しい!というメッセージが心に残ります。
読み聞かせにも盛り上がるストーリーです。
■『おばけと友だちになる方法』(作:レベッカ・グリーン/訳:岸本佐知子|福音館書店)
おばけと“仲良くなる”方法を描いた、まさに新感覚の絵本。
大人も「へぇ〜」と思うようなユニークなアイデアが満載で、読後には想像の世界がぐっと広がります。
かわいくて、おしゃれな絵も魅力的。
保育や読み聞かせで楽しむポイント

① 表情と声色をやわらかくする
おばけの登場シーンでは、「どんな声で読もうかな?」と迷うこともありますよね。
でも、声が低すぎたり、抑揚をつけすぎたりすると、“怖い”印象が強くなってしまうことも。
おすすめのコツ:
- 0〜3歳児には、にこやかな表情&明るめの声で安心感を。
- 4〜6歳には、ちょっぴりワクワクするトーンで“怖すぎない雰囲気”を演出。
たとえば『おばけのてんぷら』などは、おばけがひそかに登場するシーンも、「あれ?なんかいるよ〜?」と驚きや発見に変えて楽しませましょう。
②寄り添った声掛けをする
お話を読み終えたあと、「こわかったね〜」と言ってしまうと、子どもも「こわいものだった」と受け取ってしまいます。
おすすめの声掛け:
- 「あのおばけ、アイスいっぱい食べてたね〜。○○ちゃんは何のアイスが好き?」
- 「どのおばけが気に入った?」
- 「もし〇〇ちゃんがおばけだったら、どこに行きたい?」
絵本をきっかけに想像をふくらませることで、「おばけ=楽しい・面白い」という印象に変わっていきます。
③ 読み終えたら“ごっこ遊び”や製作に発展!
ただ読むだけでなく、読み終わったあとに体を動かしたり、製作遊びにつなげたりすることで、楽しさが何倍にも広がります。
たとえば…
- 『ばけばけばけたくん』→「いろんなものを食べたら何に変身する?」遊びに!
- 『おばけのアイスクリームやさん』→ 自分だけのアイスを描いてみる
- 『ちいさなおばけ』→ 白いおばけを紙で作って「かくれんぼあそび」
遊び方は、後日別の記事で紹介する予定なので、楽しみに待っていてくださいね♪
絵本の世界を“体験”として楽しむことで、怖さよりも親しみが強まります。
まとめ:「おばけ=こわい」だけじゃない!
おばけ絵本は、ただ「怖がらせる」ためのものではありません。
むしろ、子どもの“想像力”や“感情の幅”を広げる大切な一冊になることも。
「うちの子、おばけって言葉だけでおびえちゃう…」という方も大丈夫。まずは一緒にページをめくりながら、「これ、全然こわくないね!」と声をそろえて笑い合う時間をつくってみてください。
夏の夜、ちょっぴり涼しさを感じたいとき、お部屋でのリラックスタイムに。親子で楽しめる“おばけ絵本”が、きっと特別な思い出をくれるはずです。ぜひ、お気に入りの一冊を見つけてみてくださいね。