はじめに:絵本は「心と言葉を育てる」最初の贈りもの
絵本は、子どもの心を育て、言葉の世界へと導く大切なものです。親子で一緒に読むことで、安心感や信頼関係が深まり、楽しい思い出にもなります。
でも「子どもに絵本を読んであげたいけれど、どれを選べばいいのかわからない…」 「せっかく買っても、興味を持ってくれなかったらどうしよう…」と悩むこともありますよね。
この記事では、保育士の視点から、0〜6歳の年齢ごとにぴったりの絵本を紹介します。さらに、絵本選びのポイントや、楽しく読み聞かせするコツもご紹介するので、絵本を通じて、親子の時間がもっと豊かになるように、ぜひ参考にしてくださいね。
1. なぜ絵本の読み聞かせが大切なの?
読み聞かせには、大きく分けて5つの効果があるとされています。それは、言葉の力や想像力を育むだけでなく、子どもの心を豊かにし、親子の絆を深める素敵な時間になります。ぜひ、「親子で楽しむ時間」として、絵本を取り入れたいものですね!
①言葉を覚える力が育つ(言語能力の向上)
②脳が発達し考える力が育つ(認知能力の向上)
③集中力の向上
④感情を学ぶ(共感力・自己表現力)
⑤親子の絆が深まる
詳しくはこちらの記事で解説しているので時間があればぜひ読んでみてくださいね♪
【年齢別】おすすめ絵本リスト

【0歳】見て・触って・聞いて楽しむファーストブック
生まれてからすぐの赤ちゃんは、まだ視力がはっきりしていません。だからこそ、はっきりとした色使いやシンプルな絵、音の響きが楽しい絵本がぴったり!絵本を通して「目で追う」「耳で聞く」「手で触る」ことで、五感が少しずつ刺激され、親子のふれあいが深まります。
布絵本やしかけ絵本など、手で触って楽しめるものも大人気。口に入れてしまう時期でもあるので、安全性の高いものを選んであげると安心です。
おすすめ絵本:
- 『じゃあじゃあびりびり』(まつい のりこ)/偕成社
シンプルな擬音が楽しい、0歳児の定番絵本!「じゃあじゃあ」「びりびり」など、赤ちゃんが大好きな音がいっぱい。ページも厚くて丈夫なので、初めての絵本にぴったりです。
じゃあじゃあびりびり 改訂 (まついのりこのあかちゃんのほん) [ まつい のりこ ] - 『ごぶごぶ ごぼごぼ』(駒形克己)/福音館書店
カラフルな形と音のリズムが印象的。「ごぶごぶ」「ごぼごぼ」と繰り返される言葉の響きが心地よく、赤ちゃんが夢中で見つめる不思議な絵本です。
ごぶごぶ ごぼごぼ (0.1.2.えほん) [ 駒形克己 ] - 『あかあかくろくろ』Tupera Tupera(ツペラ ツペラ)/学研プラス
赤ちゃんの目が反応しやすい「赤・黒・白」を使ったビジュアルが特徴。目で追いやすく、「じーっと見つめる」姿が見られることも。視覚発達のサポートにも◎
あかあかくろくろ (いっしょにあそぼ) [ かしわらあきお ] - 『しましまぐるぐる』(かしわらあきお)/学研プラス
はっきりとしたしま模様とぐるぐる模様が赤ちゃんの目をひきつけます。めくるたびにカラフルな世界が広がるので、赤ちゃんも興味津々。お出かけにも持っていきやすいサイズ感。
しましまぐるぐる (いっしょにあそぼ) [ かしわらあきお ] - 『くっついた』(三浦太郎)/こぐま社
「ぞうさんと ぞうさんが……くっついた!」とシンプルな繰り返しで進む、心温まる絵本。親子でほっぺを「くっつけて」読むと、スキンシップにもなって笑顔があふれます。
くっついた [ 三浦 太郎 ]
【1歳】リズムとくり返しで楽しむ絵本

1歳ごろになると、少しずつ言葉を理解し始める時期です。リズムの良いフレーズや繰り返しの表現、親しみやすいイラストの絵本は、子どもの心をぎゅっとつかんでくれます。声に出して読むことで、言葉の習得にも自然とつながっていきます。
おすすめ絵本:
- 『ぴょーん!』(まつおか たつひで)/ポプラ社
カエルやウサギ、イヌが「ぴょーん!」とジャンプ!ページをめくるたびに動物が飛び上がる構成で、子どもも一緒にジャンプしながら大喜び。体を動かすのが好きな子におすすめ。
ぴょーん (はじめてのぼうけん) [ 松岡達英 ] - 『もこ もこもこ』(谷川俊太郎)/文研出版
「もこ」「にょき」「ぷうっ」など、言葉にならないような音がユニークな一冊。意味はわからなくても、音の響きと絵の動きが面白く、何度も読みたくなります。
もこ もこもこ(文研ミニブック) [ 谷川俊太郎 ] - 『だるまさんが』(かがくい ひろし)/ブロンズ新社
「だ・る・ま・さ・ん・が…どてっ!」のリズムがクセになる!シンプルで大きなイラストと、体を使って遊べる動きが楽しい。親子で一緒にマネして楽しむのがポイントです。 - 『いいおかお』(松谷みよ子)/童心社
「にこにこ いいおかお」が繰り返される、優しくてあたたかい絵本。1歳頃の子どもは“顔”への興味が強いので、「どんなおかお?」と語りかけながら読むと反応が増えますよ。 - 『いないいないばあ』(松谷みよ子)/童心社
50年以上愛されるロングセラー。動物たちが「いないいない…ばあ!」と登場するたびに、赤ちゃんの表情がパッと明るくなります。親子のやりとりにもつながりやすい一冊です。
【2歳】身近なことに共感できる!シンプルなお話の絵本

2歳は「自我」が芽生え始める時期。「イヤイヤ期」と呼ばれるように、自分の思いを表現しようとする反面、うまく伝えられないもどかしさもある年齢です。そんな時期には、共感しやすい日常の出来事を題材にした絵本や、繰り返しの安心感があるお話がぴったりです!
おすすめ絵本:
- 『ねないこ だれだ』(せなけいこ)/福音館書店
ちょっぴり怖いけどクセになるおばけの絵本。夜更かしする子にぴったりで、「おばけがくるよ〜」なんて言いながら読むと効果抜群!? 絵のインパクトも強く、記憶に残る1冊です。 - 『どんどこ ももんちゃん』(とよたかずひこ)/童心社
「どんどこ どんどこ」と走り続けるももんちゃんの姿がかわいくて、思わず一緒に声を出したくなる絵本。0〜2歳の子どもたちにぴったりの、元気いっぱいの一冊です。 - 『ノンタン おやすみなさい』(キヨノサチコ)/偕成社
寝る時間になっても遊びたくてしかたないノンタン。子どもたちの「あるある」が詰まった一冊で、「寝る前に読むと自然と落ち着いてくれる」というママ・パパの声も多く聞かれます。 - 『おべんとうバス』(真珠まりこ)/ひさかたチャイルド
「ハンバーグくん!」「はーい!」と、元気なお返事でお弁当のおかずたちがバスに乗っていく楽しい絵本。呼びかけに答えるやりとりで、言葉のやりとりも広がります。 - 『きんぎょがにげた』(五味太郎)/福音館書店
逃げた金魚をページの中から探す「さがし絵本」。遊び感覚で楽しめて、語りかけにもぴったり。「どこかな?いたー!」と、親子の会話が自然に生まれます。
【3歳】ストーリー性が出てくる時期にぴったりの絵本

3歳は“想像力”や“共感力”がぐんと育ってくる時期です。物語の中に入り込んで、登場人物と一緒にドキドキしたり、笑ったり。日常に近い出来事を描いた絵本や、ちょっぴり冒険心をくすぐるお話も人気です。
おすすめ絵本:
- 『しろくまちゃんのほっとけーき』(わかやまけん)/こぐま社
しろくまちゃんがホットケーキを焼く様子を描いた名作。ページをめくるたびに「ぽたあん」「ぺたん」などの音が楽しくて、読むたびに一緒に料理した気分になります。 食育にもつながる1冊。 - 『はらぺこあおむし』(エリック・カール)/偕成社
あおむしが食べたものを追いながら、数字や曜日、食べ物の名前も覚えられる定番絵本。カラフルな絵と穴あきのページで、指を差しながら楽しく読めます。 - 『おおきなかぶ』(ロシア民話・A.トルストイ)/福音館書店
「うんとこしょ、どっこいしょ」と、リズムにのって楽しめる昔話。何度読んでも飽きない繰り返しの展開は、親子で声をそろえて読むのにもぴったりです。 - 『ねずみくんのチョッキ』(なかえよしを・上野紀子)/ポプラ社
お母さんに編んでもらったねずみくんのチョッキ。友だちに次々貸しているうちに…?シンプルなストーリーの中に、ユーモアと優しさが詰まっています。 - 『わたしのワンピース』(にしまきかやこ)/こぐま社
うさぎさんが白いワンピースを着てお散歩するたび、自然の景色に合わせて模様が変わっていく、かわいらしいストーリー。色や模様の変化が楽しく、女の子に特に人気です。
【4歳】想像力や感情が広がる!心に残るお話の絵本

物語の世界を深く楽しめるようになります。感情移入しやすいお話や、心あたたまる内容がぴったりです。
おすすめ絵本:
- 『100かいだてのいえ』(いわいとしお)/偕成社
てっぺんまで100階もある家を、いろんな動物たちの暮らしを見ながら登っていくお話。縦開きのユニークなしかけと、次はどんな部屋?とワクワクが止まらない展開に夢中になります。 - 『きょだいな きょだいな』(長谷川摂子)/福音館書店
畑のまんなかに現れる“きょだいな”○○たちに、子どもたちは大興奮!繰り返しのリズムが楽しくて、読み聞かせでも大人気の一冊です。声に出して読むと盛り上がります。 - 『ぐりとぐら』(なかがわりえこ)/福音館書店
森で大きなたまごを見つけた「ぐり」と「ぐら」が、ふわふわのカステラを作るお話。物語のワクワク感と、「お料理って楽しい!」という気持ちが自然に育まれます。リズムよく進むストーリーで、読んでいる大人も楽しくなりますよ。 - 『おばけのてんぷら』(せなけいこ)/ポプラ社
こわがりだけど好奇心いっぱいのうさこちゃんと、ちょっぴり抜けてるおばけが登場。クスっと笑えるストーリーと、てんぷらを揚げる音や香りの描写も魅力的です。 - 『りんごかもしれない』(ヨシタケシンスケ)/ブロンズ新社
テーブルの上のりんごを見て「ほんとにこれ、りんごかな?」と、どんどん妄想がふくらんでいくお話。発想力と観察力を刺激してくれる1冊です。
【5歳】考える力・会話力を育てる絵本

5歳ごろになると、物語の展開や登場人物の気持ちをより深く理解できるようになります。「どうしてこうなったの?」「もし自分だったら?」といった問いかけを通じて、思考力・想像力・会話力がどんどん育つ時期。ユーモアやちょっぴり哲学的な内容の絵本にも興味を持ち始めます。
おすすめ絵本:
- 『いいから いいから』(長谷川義史)/絵本館
「いいから いいから」が口グセのおじいちゃん。どんなことも笑って受け止めるその姿に、子どもも大人も心が和みます。ユーモアとやさしさがあふれる一冊です。 - 『ともだちや』(内田麟太郎)/偕成社
キツネが「ともだちや」を始めるユニークなお話。「ほんとうの友だち」ってなんだろう?と自然に考えさせられる一冊。対話のきっかけにもぴったりです。 - 『くれよんのくろくん』(なかやみわ)/童心社
使われずにいた「くろくん」が、仲間と協力して素敵な絵を描くお話。自分の役割を見つける喜びや、協力する楽しさをやさしく伝えてくれます。 - 『せんたくかあちゃん』(さとうわきこ)/福音館書店
「洗濯が大好きなかあちゃんが、なんと、鬼まで丸洗い!?」 元気いっぱいのストーリーとテンポの良い展開が子どもに大ウケ。頼もしい“かあちゃん”の姿が印象に残ります。 - 『バルバルさん』(乾栄里子・西村敏雄)/福音館書店
町の床屋「バルバルさん」には、どうぶつのお客さんがいっぱい!どんな髪型に仕上がるのかワクワク。やさしさとユーモアが詰まった、心あたたまる絵本です。
【6歳】自分で読む楽しさを知るステップ絵本

6歳になると、ひらがなを読めるようになったり、少しずつ自分で読む力が育ってきます。ストーリーの面白さに引き込まれて「もっと読みたい!」という気持ちが芽生える時期でもあります。読み聞かせはもちろん、「一緒に読む」スタイルにもぴったりな絵本をご紹介します。
おすすめ絵本:
- 『スイミー』(レオ・レオニ)/好学社
小さな魚のスイミーが仲間と力を合わせて大きな魚に立ち向かうお話。協力することの大切さや、個性を活かすことの素晴らしさを伝えてくれます。 - 『こんとあき』(林明子)/福音館書店
ぬいぐるみの「こん」と少女「あき」の旅の物語。想像の世界と現実がやさしく交差する、読後にほっと心があたたかくなる絵本です。 - 『ももたろう』(松居直・赤羽末吉)/福音館書店
日本を代表する昔話。堂々とした語りと、迫力ある挿絵で、正義感や冒険心が育まれます。読み継がれてきた名作は、子どもの心にしっかり届きます。 - 『はじめてのおつかい』(筒井頼子・林明子)/福音館書店
「みいちゃん、がんばれ!」と応援したくなるドキドキの冒険。初めての体験に戸惑いながらも、一歩踏み出す姿に共感する読者多数。入学前後の子にもおすすめ。 - 『バムとケロのにちようび』(島田ゆか)/文溪堂
細かく描かれたイラストに大人も夢中!日曜日のちょっと不思議でかわいい日常を、何度でも眺めたくなる絵本です。
絵本選びのポイント|保育士が大切にしている視点
「好き」から始めよう!絵本選びでいちばん大切なこと
「どの絵本が発達にいいのかな?」「せっかくだから知育につながるものを…」と悩む保護者の方はとても多いです。でも、保育の現場でたくさんの子どもと接していると実感するのが、“好き”の力のすごさ。
子どもが絵本に夢中になる一番のきっかけは、「なんかこれ、おもしろい!」という直感的な好きの気持ちです。
たとえば――
- 絵の色づかいがきれいでじーっと見つめている
- 音のリズムが気に入って、何度も「もう一回!」という
- キャラクターがかわいくて、名前を覚えてお話するようになる
こうした小さな「好き」が、絵本との距離をぐっと縮めてくれます。
そして不思議なことに、「好きで読んでいるうちに、知らないうちに語彙が増えていた」「ストーリーを覚えておしゃべりが上手になった」など、結果的に“学び”や“発達”にもつながっているんです。
だからこそ、最初の一冊は「知育」より「楽しい」。「教育」より「共感」。
「“いい絵本”を探すのではなく、“この子にとって好きな絵本”を探してあげてくださいね!」
おわりに:絵本の時間が、親子の宝物になりますように
絵本の読み聞かせをしていると、子どもがじっと耳を傾けたり、笑ったり、
ときには一緒にセリフをまねしたり。
そうした何気ないやりとりの中で、子どもは安心し、言葉を覚え、感情を育てていきます。
でも、だからといって、「毎日読まなきゃ」「ちゃんと聞かせなきゃ」と頑張りすぎなくても大丈夫。
忙しい毎日の中で、ほんの数分でも。1日1冊でも。
「今日はどれにしようか?」そんな親子の小さな会話から始めてみてください。
絵本の時間は、子どもにとっても、大人にとっても、
いっしょに笑った、寄り添った、手をつないだ記憶になります。
あなたとお子さんにとって、絵本の時間がかけがえのない宝物になりますように。