「読み聞かせって本当に意味あるの?」科学的に証明された驚きの効果とは

絵本

はじめに:読み聞かせって意味あるの?

「絵本の読み聞かせって本当に必要なの?」
「まだ言葉も話せないけど・・・」
「じっと聞いてくれないし、読んでも意味があるのかな?」

こう思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
私自身、保育士として子どもたちと関わる中で、同じような気持ちになったことがありました。0歳や1歳の子どもに絵本を読んでも、ページをめくるだけだったり、途中で飽きてしまったり…。正直、「ちゃんと聞いてないし、効果あるのかな?」と思ったこともありました。
でも、続けるうちに、最初は興味を示さなかった子どもも少しずつ絵本の世界に入り込み、言葉を覚え、感情を表現するようになる姿が見られ、ほんとに感動しました。

実際、科学的な研究からも、読み聞かせは子どもの成長に驚くほど大きな影響を与えることがわかっています。

この記事では、最新の研究結果をもとに、読み聞かせが子どもにどのようなメリットをもたらすのかを詳しく解説します。


読み聞かせが子どもに与える科学的なメリット5つ

①言葉を覚える力が育つ(言語能力の向上)

赤ちゃんや幼児は、私たちが話す言葉を毎日少しずつ吸収しています。
でも、普段の会話だけでは触れる言葉の種類が限られてしまいますよね。
絵本には、日常生活ではあまり使わないような言葉や、美しい表現がたくさん詰まっています。

例えば、「ピョンと跳ぶね」と言うところを、絵本では「ぴょーん!」と勢いよく表現していたり、「雲がふわふわ浮かんでるね」といった詩的な言い回しが使われていたりします。

さまざまな言葉に触れることで、子どもは自然と語彙を増やし、言葉のリズムや表現の豊かさを身につけていきます。

京都府立大学『幼児期における絵本の読み聞かせと認知能力との関連』(2021年)によると、家庭での読み聞かせが高頻度な子どもは、視空間性ワーキングメモリ能力や言語性短期記憶、語彙力が高いことが明らかになっています。

②脳が発達し、考える力が育つ(認知能力の向上)

絵本を通して物語を楽しむことは、子どもの脳の発達にも大きな影響を与えます。

物語を聞きながら「次はどうなるのかな?」と予測したり、登場人物の気持ちを考えたりすることで、思考力や記憶力が刺激されます。

また、絵本には「色」「形」「数」「大小」といった概念を学べるものも多く、遊びながら自然に学ぶ力が育まれていきます。たとえば、動物がたくさん出てくる絵本で、「ゾウさんは何匹いるかな?」と問いかけるだけでも、子どもは絵を見て考え、探し、注意力や観察力を養うことができます。

このように、絵本の世界を楽しむことで、子どもの脳はどんどん成長していくのです。

金沢大学『母親の読み聞かせの影響力』(2021年)では、読み聞かせによって子どもの脳内ネットワークの強度が高まり、より効率的な脳活動が促されることが示されています。

京都府立大学の同研究では、読み聞かせの方法を工夫することで、語彙力やワーキングメモリなどの認知能力がさらに向上することも示されています。

③集中力が育つ

「うちの子、じっと聞いてくれない…」と悩む保護者も多いですが、読み聞かせを続けることで、子どもの集中力が少しずつ伸びていきます。

絵本のストーリーを追いかけながら「次はどうなるの?」と興味を持ち、自然と集中する力が育ちます。特に、繰り返しのリズムや予測しやすい展開のある絵本は、話の流れを理解しやすく、集中力を伸ばすのに役立ちます。

金沢大学『母親の読み聞かせの影響力』(2021年)では、脳内ネットワークの強化により子どもの集中力が高まり、ポジティブな感情が表れることが確認されています。

④感情を学ぶ(共感力・自己表現力)

絵本には、楽しいお話だけでなく、悲しい気持ちや誰かを思いやる気持ちが描かれている作品も多くあります。

たとえば、友だちとケンカをしてしまったお話や、大切なものを失ってしまったお話を読むと、子どもは「この子、かなしいね」「どうして泣いてるの?」と、登場人物の気持ちを考えるようになります。

この「相手の気持ちを考える経験」が、子どもの優しさや思いやり、そして感情の表現力へとつながっていくのです。

奈良教育大学『幼児の心情理解に及ぼす絵本の読み聞かせの効果』(1994年)では、絵本を通じて子どもが他者の感情を理解し、共感する力が向上することが明らかにされています。

昭和女子大学『養育者による幼児への読み聞かせ行動と意義の意識との関連』(2024年)では、絵本の展開に沿って子どもの感情が動き、読み手の大人が支えることで感情の分化が進むと指摘されています。

⑤親子の絆が深まる

「寝る前に絵本を読む時間が、子どもとの大切な時間になっている」という声もよく聞かれます。
絵本を読む時間は、子どもとじっくり向き合う貴重なひととき。
子どもにとっても、大好きな人がそばにいて、優しく読んでくれる安心感は、心の安定につながります。

読み聞かせの最中に「これなに?」「〇〇みたいだね!」と子どもが話しかけてくることもありますよね。そんなときは「そうだね!」「〇〇に似てるね」とやさしく応じることで、自然なコミュニケーションが生まれます。

中根愛『子どもに対する絵本読み聞かせから親は何を得るのか』(2020年)では、読み聞かせが一方通行ではなく、子どもとの時間を共有し、親子のコミュニケーションや信頼関係を深める行為であると報告されています。また、「親の働きかけ」「子どもの反応」「親の感情」は相互に関係し合っていることも明らかになっています。


おわりに:読み聞かせを始めよう!

毎日忙しい中で、「絵本の読み聞かせをしなきゃ」と思うと、少し負担に感じてしまうこともあるかもしれません。
でも、大切なのは「たくさん読んであげること」よりも、「親子で楽しく過ごすこと」です。

読み聞かせは、言葉の力や想像力を育むだけでなく、子どもの心を豊かにし、親子の絆を深める素敵な時間になります。

たとえ1日5分でも、お子さんと一緒に絵本を開く時間を作ってみてください。
「今日は疲れちゃったな…」そんな日があっても大丈夫。無理に長く読もうとせず、「1ページだけ」「お気に入りの1冊だけ」でも十分です。
膝の上で寄り添って読むだけで、子どもにとっては安心できる特別な時間になります。

絵本を読むたびに、子どもは少しずつ成長し、親子の思い出も増えていきます。
ぜひ、気負わずに「親子で楽しむ時間」として、絵本を取り入れてみてくださいね!

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